D2 課題演習:走時曲線

ある場所で地震が起こると、そこから地震の波(エネルギー)が四方八方に放射状に射出され、 やがて地表に達します。地震の波の伝わり方は主に2つあり、縦波であるP波(波の伝わる方向に押し引きをする)、横波であるS波(湖面の波のように、振動方向が波の伝わる方向と垂直)に分類されます。

地球内部は全く同じ物質でできているというわけではないので、地震波の伝わる速度が主に地表からの深さによって変わります。 例えば、外核(地表から2900km〜5100km)は液体となっているので、波の速度が遅くなります。S波に至っては、横波なので、液体中を伝わることはできないので、 外核では存在しないことになります。

さらに、地球内部の物質はある深さを境に突然変化することがあります(ちょっと違いますが、地層のスケールがむちゃくちゃ大きい版と考えてください)。 このような境界では、地震波は突き進む(これを透過という)こともできますが、はねかえる(反射)こともあります。 また、この反射の過程で、P波がS波に変換されたりしたり、また、逆に、S波がP波に変換されたりしたりします。

このように、ある場所で発生した地震による波を追跡するといっても、さまざまなタイプの波が発生し、非常に複雑になります。 実際、地震計に記録された波の結果は、このような、反射、屈折、変換などを経たものを見ているということになるのです。

今回の演習では、1991年6月24日にサンティアゴで発生した地震(震源の深さ:558km)を例に、どの部分がどのような波かを判別することを行いました。 それを紹介するのはこの場ではたいへんなので、波がどのように伝わるかを次のグラフをお見せすることで紹介したいと思います。


グラフ(今回は pdf ファイル!)


このグラフは pdf にする前に回転するのを忘れたので非常に見にくくなっていますが、長い方の軸が、地震発生地点からの角距離、 短い方の軸が地震発生時刻からの秒数です。 角距離が小さい方は、それに比例して走時が大きくなっていますが、徐々に、その傾きが小さくなることがわかります。 これは深さとともに地球の速度が速くなっていくためです。そして、100度付近になると、波の到達がなくなってしまいます。 これは、これより深い方向に進む波が外核に突入してしまうためで、そこで、急激に速度が遅くなり、波が屈折してしまうため、 より深い方向(急な角度)に曲がり、より遠いところに波が到達してしまうため、波の到達しないエリアができます。 さらに、鉛直下向きに射出された波は内核を通って地表に表れることになります。

以下、外核の表面での反射などが現れているのですが、おいおい追加していきます。