赤道大気準二年周期振動

このセクションはレポートというより、会話口調で書いたお気楽なものです。


赤道域下部成層圏(10mb〜100mb)では、約 2 年周期で西風と東風が交互に現れる。
これを「赤道大気準二年周期振動」(QBO)という。
ここでは、それについての解析結果等を載せている。


10月23日の地球物理課題演習の発表のときに、木田さん(物理気候)から
「赤道上層では風向が 2年おきに変化すると言われているが、君の結果からそれはどのように考えられるか」
というようなことを言われました。
そのような周期振動があるとはそのときは全く知らなかったが、その時のオレの結果からは、
「1994年〜1999年の11・12月の 200mb 等圧高度面における東西風は、風速の大きさは変化するけれど、
風向そのものは毎年ほとんど変化していない。
もし 2年周期があるなら、この 6年間の 2ヶ月分ずつの解析でもそれが見られるはずである。
よって、この周期振動は見られない」
と一時的に結論付けた。

そして、12月の気象学(余田さん)の講義で、
「赤道上の成層圏では約 2年の周期振動が見られる」
ということがわかったので、とりあえず自分でもデータを基に出してみることにした。
200mb 等圧高度面でそれが見られなかったのは、200mb は「成層圏」ではなく「対流圏」だからである。
では、なぜ成層圏では起こり、対流圏では起こらないのか?
それはかなり高度な研究内容であり、オレがそれをすることは様々な理由からできない。
よって、ここではそのような現象が見られることを示すだけに留める。





上の図は、ECMWF の再解析データを基に、
での東西風のデータを にわたってプロットしたもので、軸は横軸が時間(年)、縦軸が高度(mb)である。
ただし、緯度は 2.5度N、0度、2.5度S の 3点平均したものを 0度としている。
また、高度は気圧であるゆえ、現実的な高度をイメージしやすくするために対数でプロットしている。
カラートーンバーをつけていないが、の領域が 0 m/s 前後で、
赤くなるほど西風が強く、青くなるほど東風が強い。
の濃い部分が西風 40 m/s、の濃い部分が東風 40 m/s である。
この図から、10mb から 70mb くらいまでは「約2年の周期振動」が見られるが、
100mb ではほとんど風向の変化がなくなってきているのがわかる。
このことは、200mb で各経度での風向の変化がなかったことに結びつけることができる。


ここで、わかりやすいように 10mb での時間変化を折れ線グラフにしてみた。





これは上のカラーの図の一番上の部分を取り出したものに等しい。
横軸は時間(年)、縦軸は西風の強さ(西風は東向きの風であるから"Eastward")で、+ が西風、− が東風である。
これを見ると、2年変化の様子がよく分かるのではないかと思う。

次はこのグラフに移動平均をかけてみた。





これは 30時点(15日に相当)の移動平均のグラフである。軸は前の図と同じである。
これにより、日変化などの短期的変動を無視し、長期的な変化を見やすくすることができる。
確かに、おおまかな変化の様子がよくわかるようになった。
つまり、前の図のギザギザは半月以下の短期的な変動であったと言える。

では更に、このグラフに Fourier 解析をかけてみた。





横軸は周期(年)、縦軸は各周期における風の強さである。
2年周期があると最初から分かっている通り、2年のところに極値がある。
これを見る限り、0.5年のところにも小さいが極値があるように見える。
これは季節変化の影響か?こんな上空に季節変化などあっただろうか・・・いや、あるのかもしれない。
ということがわかる。

まだ途中です。と言って、どこまでやるかは知りません。遊びですから・・・


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